省エネ・温暖化防止・リサイクルに貢献するグラスウール断熱材
 


調査対象事業場
ガラス長繊維…9社 10工場…2701名
 
ガラス短繊維…6社 12工場…1133名
 
合計3834名

グラスウールがその優れた性能のために、建築設備、住宅等の断熱・吸音材、不燃材料として私たちの暮らしに非常に近いところで広く使われてきました。 生活に密着していること、繊維状であることで人体の健康に影響があるのではないかという観点から、グラスウールに関しては、以前から世界各国で医学的な研究やさまざまな実態調査が行われ、安全性が確認されてきました。 しかし、その一方で、近年のアスベスト(石綿)の発ガン性など人体への影響が取り上げられ、グラスウールも同じ繊維状物質であることから同様の影響があるのではないかとの誤解もいまだあるのが現状です。 こうしたことを踏まえ、硝子繊維協会では、硝子繊維メーカーで働く人、製品を使用する人の今後の健康の指針とすることを目的に、正確な「最新の」データをとるために平成11年度に調査を実施しました。 このほどその調査結果が「ガラス繊維製造従事者の健康調査」としてまとまりましたので紹介します。

徹底した調査体制で集積されたデータ
硝子繊維協会加盟14社22工場を対象に、平成11年度8月までに各事業場で行った胸部直接撮影X線フィルム読影の結果を、9〜10月にかけて分析したものです。 この調査では、加盟会社・工場すべての直接製造作業従事者だけでなく、管理部門従事者(技術、営業部門含む)までを調査範囲としました。

調査方法・内容は次の通りです。
1.
胸部直接撮影X線フィルム読影 じん肺法による「管理区分※」(じん肺検診対象者のみ)、及び「その他の像」(全従業員) ※粉じん作業等、特にじん肺のチェックを要すると法律で定められた作業区分
読影対象者中の、じん肺検診対象者
グラスウール部門
191人
ガラス長繊維部門
168人
合計       
359人
2.
喫煙歴

喫煙歴

   
喫煙者
3834人中2316人
60%
非喫煙者 
3834人中1518人
40%
3.
アスベスト粉じん暴露年数調査及び X線フィルムの読影は、18名の産業医によって行われました。その上で疑問の症例については、福井医科大学 医学部 放射線医学教室伊藤春海教授に再読影を依頼しました。 つまり、この調査は(1)硝子繊維協会加盟会社すべてで行うことで業界全体の傾向を明らかにすること(2)すべての従業員を調査することですべての職場環境を網羅すること(3)喫煙、アスベスト作業歴にも調査範囲を広げてあらゆる要素に配慮すること(4)専門医・専門機関に分析を依頼し信頼性の高い完璧なデータを作成すること、を期して行われました。

アスベスト作業歴
3834人中5人…1名はグラスウール部門、4名はガラス長繊維部門 5人とも粉じん作業以外の職場で作業している。


調査結果
硝子繊維製造工場で働く人に明確な職業的疾患は認められない
読影対象者(表1)のうち、アスベスト作業歴のある人は5名で、5名とも粉じん作業以外の職場で作業し、「その他の像」についても所見者ではありませんでした。 じん肺管理区分(表2)については、対象者すべてが管理1(問題がない)管理2(ほとんど問題がない)の範囲にいました。 全対象者職種別の「その他の像」分布(表3)に関しても、所見者は全体の2.6%で、一般検診結果と特に有意差が認められない数値でした。 これらを踏まえ、調査の監修にあたった福井医科大学伊藤春海教授は次のようにまとめられました。

1.
ガラス繊維暴露作業者における胸膜肥厚斑(プラーク)の所見者はゼロであった。この調査結果から、石綿暴露にきわめて特異的な胸膜病変である胸膜肥厚斑が、ガラス繊維暴露作業者に出現する可能性は非常に低い、と言える。
2.
ガラス繊維製造工場で働いている人に、現時点では明確な職業的疾患の兆候は見られない。

表1 読影対象者
職種
職域区分
性別
X線フィルム枚数
全体の平均年齢
平均従事年数
グラスウール
(ガラス短繊維)
製造従事者
708
41.3
18.1
3
38.5
18.6
小計
711
41.3
18.1
非製造従事者
329
40.1
15.7
93
32.6
8.7
小計
422
38.5
14.1
中計
1133
40.2
16.6
ガラス長繊維
製造従事者
1866
40.9
16.7
236
38.0
11.1
小計
2102
40.5
16.0
非製造従事者
461
42.8
18.0
138
30.7
7.7
小計
599
40.0
15.6
中計
2701
40.4
15.9
総計
3834
40.4
16.1

表2 じん肺管理区分分布
 
管理1
管理2
管理3イ、3ロ、4
グラスウール
187
4
0
191
ガラス長繊維
168
0
0
168
合計
355
4
0
359

表3 全対象者職種別その他の像分布
職種
その他の像
対人数比率
職種別総人数
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
合計
グラスウール
(ガラス短繊維)
15
1
10
0
0
0
0
2
0
1
0
29
2.6%
(1133)
ガラス長繊維
46
0
13
3
0
0
1
0
0
6
0
69
2.6%
(2701)
合計
61
1
23
3
0
0
1
2
0
7
0
98
2.6%
(3834)
ダブルカウント:
ガラス短繊維 その他の像1、3
ガラス長繊維 その他の像1、4
※対象人員3834人中98件(ダブルカウント2件含む)

1、胸膜肥厚等の変化(石灰化像を除く)
7、肺門または縦隔リンパ節の卵殻状石灰沈着
2、胸膜石灰像
8、肺または胸膜のがん
3、心臓の大きさ、形状の異常
9、気胸
4、ブラ(のう胞)
10、肺結核
5、空洞
11、胸膜肥厚斑(プラーク)
6、著明な肺気腫