誰だって、われわれが住んでいる地球の環境が汚れていく姿などみたくありません。故あって長い間離れていた故郷に帰ったとして、あの思い出の川が魚も棲めないドブ川になっていたら、“探検ごっこ”をした、あの鎮守の森が禿げ山になっていたら、悲しくなってしまうでしょう。
やがて、「誰がこんな惨いことをしたんだ。許さないぞ!」と叫ぶかもしれません。それは、幼かった頃の自分の人生に泥を塗られた気持ちになるからです。
ひるがえって、どこの自治体でも「地球にやさしいまちづくり」を掲げており、いろいろな方面から市民に協力を求めています。ゴミの無分別な投げ捨てなどはもってのほかで、リサイクルを考えた分別排出を徹底しましょう。地球温暖化防止のために省エネに心がけ、クーラーは28℃に設定しましょう。
といった、家庭レベルの対策から、地域ぐるみで河川敷などへの粗大ゴミや産業廃棄物不法投棄の監視、ダイオキシンを発生させないために焚き火の禁止と、実に様々な努力がなされています。
しかし、市民にもいろいろな人がいて、積極的に取り組んでいる人もいれば、消極的な人もいる。こうしたなかで、環境問題に熱心な人ほど自己矛盾を抱え込み、無力感におそわれる傾向にあるように思います。
環境の悪化は大量生産・大量消費が問題であり、まず、いまの消費社会を改めるべきだ。地球温暖化の原因である二酸化炭素だって、先進国の排出量が圧倒的多く、発展途上国は貧しく慎ましくやっている、先進国のエゴをどうする。世界の総人口は60億人、自分ひとりが環境に良かれとマイカーを廃し自転車にしたところで、どれだけ環境に貢献できるのか。
いろいろな矛盾やジレンマが頭のなかを駆けめぐります。また、自分が取り組んできたことが、けし粒のように些細なことに思えてしまうのです。地球対ひとりの人間、という1対1の関係で対峙すると、どうしようもない無力感に支配されてしまうわけです。
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コバルトブルーの美しい地球 |
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地球対ひとりの人間、この1対1の関係を自分の身体で体験した“選ばれた”人たちがいます。それは、丸い地球を自分の目で確認した宇宙飛行士です。地球が球体であることは、小学生でも知識として知っています。
ですが、それを「そのとおりだ」と宇宙空間なり月面から確認したとき、その宇宙飛行士は地球と自分が1対1で対峙していることを意識したに違いありません。
「かけがえのない存在」「いとおしい、あまりにも美しい星」といった表現で、宇宙飛行士はその感動を語っています。また、「宇宙体験をすると、前と同じ人間ではありえない」とも言っています。丸い地球を目の当たりにすることで、これまでの既成概念から解き放された価値観で地球を把握したのではないでしょうか。これは、エベレストを征服した達成感などとは全く異なるものだと思う。
われわれも、月面から撮影された地球の映像に衝撃を受けました。「2001年宇宙の旅」で知られるアーサー・クラークは、地球の姿を客観的に捉えた映像をもたらしてくれただけでも、人類への大きな貢献であると語っています。
なぜ、宇宙の話が出てきたかというと、地球環境を守るといっても「ひとりの人間がどれほど貢献できるのか」あるいは「自分ひとりくらい環境問題など無視して生きたって、地球規模でみればなにも変わらない」といった、無力感に陥ったとき、宇宙飛行士の体験やコバルトブルーの美しい地球の映像が、ジレンマから解放してくれるのではないかと考えたからです。
確かに、人間ひとりができることは限られています。しかし、われわれは“地球家族”の一員であり地球を離れて暮らすことはできません。そのことを実感させてくれるのが、丸い地球の「かけがえのない存在」なのです。丸い地球の映像は科学的な理論に基づいた想像図などではなく、人間が出向いて撮影してきた実像です。ここのところに説得力があるのではないでしょうか。
未来学者が予測する地球の将来は、おおかた悲観的な結末を提示しています。オゾン層がこれまで以上に破壊されていくと、人類は皮膚ガンに冒され全滅する、といったたぐいの話です。
そこで、オゾン層を破壊する原因となっているフロンガスを削減することができたとき、その未来学者の予測なり警告は、外れることになります。人類は滅亡などしなかったということになるからです。
未来学者の予測を外すために、われわれはスプレー缶を分別し、エアコンや冷蔵庫のフロンガスを適切に処理し、フロンガスを使用していない製品を購入する努力をしているわけです。
それなら一肌脱ごうということで、あなたがスプレー缶の回収、分別に精を出すボランティアに勤しんだとして、継続していく過程で、周囲の無理解に遭遇し、ふとしたことから先に触れた無力感に取り込まれてしまうこともあるのではないでしょうか。
「どうせ、自分が生きている間は、オゾン層がどうなろうと関係ないやぁー」と疲れてしまったとき、コバルトブルーの美しい地球を思い浮かべることで、癒され、新たな気力がわいてくるかもしれません。
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