省エネ・温暖化防止・リサイクルに貢献するグラスウール断熱材
 




グラスウールは湿気を吸うので、内部結露の原因になる。
この意見には、グラスウールに対して一般的に誤解されていることが2点含まれています。

第一に、「グラスウールは湿気を吸う」という点に関してです。グラスウール のような繊維系断熱材は、繊維と繊維の間に空気が含まれているので、周囲の湿度に同調して 断熱材内に湿気が出たり入ったりはしますが、素材自体が能動的に湿気を吸うわけではありません。グラスウール、ロックウール、セルローズファイバーなどの繊維系断熱材の場合「吸湿性」は高温高湿下における一定時間後の材料の重量増(%)で表されます。グラスウールとロックウールとの比較実験では、双方の吸湿率にほとんど差がないと いうことが確認されています。 一般にグラスウールは湿気に弱いと言われますが、実際は湿度が 高い環境においても、その吸湿量は大変少ないのです。

第二に、「吸湿性のある断熱材を使用することが、結露を引き起こす直接原因である」という考え方です。グラスウールを使うと内部結露を起こしやすいと誤解されていますが、内部結 露の最大の原因は「誤った施工による構造内部への湿気(水蒸気)の浸入」です。例えば繊維系 断熱材の場合には、断熱材の室外側への押し込み過ぎや寸法不足等により断熱材と躯体との間に 隙間ができたり、防湿層が隙間なく正しく施工されていなかったり(破れの放置、表裏逆施工な ど)ということが原因で、躯体内に湿気が浸入、外へ排出されずに冷やされて内部結露してしまいます。

一方、発泡プラスチック系断熱材のように一般に水や湿気を吸わないと言われている材料でも実際には透湿性がありますので、正しい施工が行われなければ結露は起こります。また、発泡プラスチ ック系断熱材の場合は素材が硬く弾力がないので、施工の際に断熱材同士や構造材と断熱材の間に隙間ができやすく断熱欠損(熱が逃げること)になるばかりでなく、経年変化による材料収縮により突き合わせ部に隙間が生じたり、あるいは材料そのものの透湿により湿気が浸入し結露す る危険があり、充填工法の場合は防湿層の施工が不可欠です。

重要なのは、断熱材の種類に関わらず正しい断熱材の施工、正しい防湿工事を行うことにより湿気が浸入する隙間をつくらないこと、あるいは正しい断熱工法を選択することです。また、万一湿気が浸入しても、外部に通気層を設けることにより 湿気が排出される「通気層工法」であれば内部結露を防ぐことができます。
 


正しい施工方法や通気層工法についての詳しい資料




セルローズファイバーには調湿性能があるので、結露しない。
セルローズファイバー断熱材を使用すれば結露しない、という保証はありません。セルローズファイバーの素材が紙なので調湿性能があるという点が大々的にPRされていますが、吸収可能な湿気量には限界があり、また湿気を吸収した状態で外部にうまく排出されず内部結露を起こした場合には断熱性能が低下してしまいます。セルローズファイバー断熱材の施工には、結露防止のための別途防湿層の施工が不要という話も聞きますが、住宅金融公庫の仕様書では別途防湿層の施工が必要であることが明記されています。
 







発泡プラスチック系断熱材は水を吸わないので、結露の心配がない。
断熱材の種類に関わらず、正しく施工されなければ結露の可能性があります。結露の原因は、室内側から入した湿気が躯体内に停滞し冷やされることですから、断熱材の吸水性が原因と考えるのは間違っています。発泡プラスチック系断熱材はグラスウールと違って硬く弾力がないこと、また経年変化による材料収縮が生じることから断熱材同士の継ぎ目や構造材との間に隙間ができやすく、もし誤った施工や材料収縮により隙間ができると、湿気が入し結露の原因となります。また、発泡プラスチック系断熱材は湿気を通さない素材であると一般的 に考えられていますが、実際は湿気をまったく通さないのではなく「通しにくい」素材なのだということはあまり知られていません。湿気を通しにくい性能(透湿抵抗値で表される)を比べた場合、グラスウールの付属防湿フィルムよりも低いので、安全を考えるなら発泡プラスチック系 断熱材を使用する場合でも別途防湿層を施工するべきでしょう。実際に住宅金融公庫の仕様書では、発泡プラスチック系断熱材を充填工法で用いる場合、全地域において別途防湿層を施工する ことが明記されています。




ロックウールに比べると、グラスウールの方が結露に弱い。
裸の素材を水に浮かべて「ロックウールは長時間水に浮くが、グラスウールは沈む」 というPRを見て、ロックウールはグラスウールより内部結露を起こしにくいと誤解されることがあります。しかし、断熱材の吸水性と内部結露とはまったく関係ありません。真の原因は「気体である湿気(水蒸気)」なのです。躯体内に入した湿気が外部に排出されずに冷やされ水滴化する現象が内部結露ですから、吸水性の有無で結露しにくいかどうかを判断するのは間違いです。では、グラスウールとロックウールの湿気に対する性質はどうなのでしょうか?実際、両者の吸湿性を比較実験してみると、その吸湿率にはほとんど差がありません。グラスウールもロックウールも同じ繊維系断熱材ですから、周囲の空気に同調して繊維と繊維の間を湿気が出たり入ったりします。ですから、躯体への湿気入を防止するために、ロックウール断熱材もグラスウール断熱材と同じように室内側には必ず防湿層を施工することになっているのです。




グラスウールは呼吸器系の疾患を引き起こす。また、発ガン性がある。
世界で最も権威ある物質の発がん性評価機関、IARC(国際がん研究機関)が、2001年10月に人造鉱物繊維の発がん性リスクを再評価し、グラスウール及びガラス長繊維をグループ<3>(ヒト発がん性に分類し得ない)としました。これによって、グラスウールのより高い安全性が認められました。また、40年以上にわたる世界でのヒトに対する疫学研究で、グラスウールの製造・加工・施工に携わってきた人の健康診断結果や死亡率調査報告の中に、グラスウールが原因と考えられる異常や所見は認められていません。
 





セルローズファイバーは健康建材である。
セルローズファイバーの素材は紙ですから、そのままでは燃えてしまいます。住宅用断熱材として使用される場合、火災の点から考えると難燃性は重要なポイントです。 さらに、吸湿性のあるセルローズファイバーは、そのままではすぐにカビが発生してしまいます。 こうした問題点の対策として、セルローズファイバーには重量の10〜20%もの毒性の強いホウ酸等、薬剤が添加されています。 人体への影響を心配する意見もあり、現在欧米では動物実験が実施されています。




木造住宅を建てる場合、内断熱は内部結露の心配があるので外断熱にした方が良い。
まず、木造住宅の断熱では「外断熱」や「内断熱」という言い方はされません。日本建築学会による定義では、「外断熱」「内断熱」はマンションやビルなど、コンク リートの建物(RC造)に使用される用語として、木造住宅に対して使われる「外張断熱」「充填(じゅうてん)断熱」とはっきり区別されています。最近、複数のメディアでRC造の「外断熱」の良さが取り上げられ、その結果「内断熱」のデメリットが広く言われるようになりました。定義の理解が不十分なため、「内断熱」イコール「充填断熱」と混同され、木造住宅の「充填断熱」についても問題があるかのように理解される場合があります。本来、断熱の方法は建築物の熱容量(暖ま りやすさや冷えにくさ)の違いや、熱橋(ヒートブリッジ)の存在を理解した上で選択されるべ きです。

欧米では、RC造には「外張断熱」、木造住宅には「充填断熱」という考え方が主流です。 日本でも、デザイン・耐震・コスト等を考慮して、木造住宅の断熱工法においては「充填断熱」 が一番多く選択されています。近年、木造住宅の「外張断熱」も徐々に採用され始めていますが、耐震上十分な処置が必要になる、デザインが制約さ れる、コストアップになる等の条件もありますので、その効果や影響を総合的に検討して選択すべきでしょう。
 




発泡プラスチック系断熱材はグラスウールより断熱性能が良い。
異なる素材の断熱性能を比較するためには、熱伝導率(ラムダλ)と熱抵抗値(アールR)を用います。熱伝導率は物質の“熱の伝えやすさ”を表す値で、数値が小さければ小さいほど、その材料は熱を伝えにくい、すなわち断熱性能が良いということになります。熱伝導率は材料の厚みに関わらず材質によって決まります。グラスウールのような繊維系断熱材の場合は、繊維径の太さや製品の密度によって熱伝導率が異なります。発泡プラスチック系断熱材の場合も、素材によって異なる熱伝導率を持っているのです。一方、熱抵抗値は、この熱伝導率に厚みの概念をプラスしたもので、ある熱伝導率を持つ素材が、ある厚みで発揮する断熱性能を“熱の伝えにくさ”として表す値です。

具体的には「厚み÷熱伝導率」で求められ、数値が大きければ大きいほど断熱性能が良いということになります。断熱材を選ぶ場合、異なる素材・異なる厚みの製品が販売されていますから、製品それぞれの断熱性能を正確に比較するためには、熱抵抗値で比較するべきです。熱伝導率だけで比較すると発泡プラスチック系断熱材はグラスウール断熱材よりも性能が良いと誤解してしまいますが、実際に使用される製品の熱抵抗値で比較すると発泡プラスチック系より優れた断熱性能を持つグラスウール断熱材がたくさんあります。例えば住宅断熱用グラスウールには、 1 0〜 3 2 k g / m 3まで様々な密度で、 5 0 m m、 7 5 m m、 1 0 0 m mなど異なる厚みの製品が揃っています。それに加えて、繊維を細くすることで同じ厚みでも高い断熱性能を持つ「高性能グラスウール」もあります。

このように、素材の熱伝導率だけでは断熱材の性能を比較することはできないのです。 また、断熱材の選択にあたっては経済性も考慮すべきでしょう。高い性能を持ち、かつ低コストの製品がコストパフォーマンスに優れた製品と言えます。コストパフォーマンスを比較するひとつの方法として「断熱性能当たりの価格」という指標があります。断熱材の価格をその性能(熱抵抗値)で割ることで算出され、この値が小さければ小さいほどコストパフォーマンスに優れた断熱材であると言えます。発泡プラスチック系とグラスウール断熱材のコストパフォーマンスを比較すると、グラスウールの方が経済性に優れた断熱材であることがお分かりいただけると思います。
もうひとつ、発泡プラスチック系断熱材を選択する際に注意していただきたいのは「断熱性能が時間とともに低下する」ことです。そもそも発泡プラスチック系断熱材の熱伝導率がグラスウールより小さいのは、グラスウールが繊維間に含んでいる「空気」よりも熱伝導率が低い『フロン系ガス』が使用されているからです。しかし、このフロン系ガスには、
時間の経過とともに徐々に外へ抜けて周囲の空気と置き換わってしまうという欠点があります。発泡プラスチック系の断熱性能の要であるフロン系ガスが空気に置換されるということは、その分断熱性能が低下するということです。それだけでなく、空気と置換されたフロン系ガスは大気中に放出されオゾン層破壊や地球温暖化の原因となります。住宅の耐久性が向上している現在、使用される建材にも性能の耐久性や地球環境へのやさしさが求められます。断熱材も同様で、住宅の寿命(耐久性)に合った性能維持が可能であること、私たちの生活環境にとって安全であることも断熱材を選択する上で重要です。