省エネ・温暖化防止・リサイクルに貢献するグラスウール断熱材
 




ここでは、住宅用発泡プラスチック系断熱材として、よく見られる押出法ポリスチレン、硬質ウレタン、発泡ポリエチレンについて比較しましょう。



グラスウールはフロンガスを使用していません。また原材料の80%がリサイクルガラスです。一方、最近ではノンフロン系のものも一部流通していますが、ほとんどの発泡プラスチック系は発泡剤としてフロン系ガスを使用しています。しかもこれらの発泡ガスは、徐々に空気と入れ替わり、大気中に放出されていきます。その結果、断熱性能がどんどん低下するだけでなく、放出されたフロン系ガスが大気中のオゾン層を破壊し、炭酸ガスの何千倍もの力で地球温暖化を促進し、私たちの生活に大きな脅威となっていくのです。

高性能をうたうほとんどの発泡プラスチック系には、オゾン層を破壊したり地球温暖化につながるフロン系ガスが使用されている!
空気の断熱性能
{熱伝導率λ
=0.022kcal/m.h.℃







断熱強化によるCO2排出換算量の抑制効果を比べてみました(下図参照)。発泡プラスチック系断熱材の中には、製造時のCO2排出換算量が大きいため、断熱省エネでは50年経っても回収できず、トータルCO2排出換算量が増加してしまうものがあります。一方、グラスウールは製造時のCO2排出換算量が少なく、断熱省エネ効果と合わせて50年累計では大きなCO2排出換算量の抑制効果を示しています。
発泡プラスチック断熱材を使用するということは、環境への配慮のために断熱材を使用するという最初の目的とは正反対に、地球への環境負荷を増大させてしまうことになります。これからの断熱材選びは、製造時から廃棄までの全ライフでのCO2排出換算量抑制効果を視野に入れ、真に地球環境にやさしい材料を選択することが必要です。

■断熱強化によるCO2排出換算量の比較
 
次世代省エネ基準レベルの断熱材使用量の製造に係わるCO2排出換算量
旧省エネ基準から次世代省エネ基準に断熱強化した場合のCO2排出換算削減量50年累計値
断熱強化によるCO2排出換算削減量から建設時の断熱材のCO2排出換算量を引いたもの
地球温暖化対策としての住宅における省エネルギーによる手法の評価その5、日本建築学会大会1997年を基に作成

出典: 硝子繊維協会発行「グラスウールの良さを比べてみると〈発泡プラスチック系編〉人と地域にやさしいグラスウール断熱材」



ガラスを主原料とするグラスウールは燃えません。それに対して発泡プラスチック系は燃えやすく、シアンガスのような有毒ガスを発生したり、炎をあげて燃えたりするものもあります。

 
溶ける
煙をあげて
燃える
炎をあげて
燃え上がる
グラスウール
押出法
ポリスチレン
硬質
ウレタン
発泡
ポリエチレン
出典:硝子繊維協会試験




グラスウールは、シロアリの食害に強い断熱材です。一方発泡プラスチック系は食害を受けやすく、シロアリの食害を受けると断熱材に隙間ができ、断熱性能の低下をまねくばかりか、住宅の耐久性も損ねることになります。

グラスウール
蟻道はあるが食害なし
実験前 実験後

硬質ウレタン
周囲に大きく食害発生
実験前 実験後

押出法ポリスチレン
周囲及び中心部に大きく食害発生
実験前 実験後
※実験後の写真は、松材の木枠を取り除いて側面を撮影したものです。
[実験方法] イエシロアリの職蟻500頭、兵蟻50頭を30℃の恒温機内に40日間飼育し、断熱材の食害状況を比べてみました。グラスウールはシロアリの食害がみられませんが、発泡プラスチック系はシロアリの食害を大きく受けています。 なお断熱材の木枠には食害がありません。
出典:東京農業大学 断熱材のシロアリ食害試験報告




グラスウール断熱材は、断熱性能あたりの価格が最も安い材料です。しかも、住宅用断熱材の場合は、1/8〜1/10にまで圧縮梱包できるので、輸送・保管コストも低く抑えられます。一方、発泡プラスチック系は、グラスウールよりも断熱性能あたりのコストが高く、圧縮梱包ができないので、輸送・保管コストも高くかかります。

■断熱性能当たり価格指標比較
(価格指標)
※断熱性能当たりの価格を【設計価格÷熱抵抗値】で算出し、一定の断熱性能を実現するためのコストを計算し、グラスウールの値を100としたときの他素材との比較です。
※上記グラフは現場発泡ウレタンフォームは比較対象外です。

出典:硝子繊維協会調査




グラスウール断熱材は、長期にわたり性能を維持できます。一方発泡プラスチック系は、経年劣化が起こりやすいため、長期にわたる性能維持が難しく、住宅の耐久性を損なう場合があります。
ここでは 断熱材の耐久性を、A)形状の変化と B)断熱性能の変化の2つの側面から評価し、比較してみます。


■グラスウールの断熱性能の経年変化

出典:硝子繊維協会調査

A)形状の変化

【実験】100℃、100%の高温多湿状態の容器に試験体を入れて、5時間放置した後、形状変化を調べたところ、グラスウールにはほとんど変化が見られなかったのに対して、発泡プラスチック系は形状が大きく変化しました。変形すると隙間ができ断熱欠損を引き起こすことになり、結露の原因となります。

出典:硝子繊維協会実験より

 
【実例】(北海道における外断熱密着工法の場合)
硝子繊維協会では、これまでに施工された外断熱工法の多年経年後の状況について調査を行ってまいりましたが、その中の一例をご紹介しましょう。
発泡プラスチック系断熱材で施工された実際の建物においても、年月の経過による大きな劣化が見られます。
写真事例1は、約15年ほど前に施工された鉄筋コンクリート造の外壁の例で、発泡ポリスチレンフォーム断熱材と外装材を張り合わせた一体型パネルをビス又は接着剤で直接躯体に取り付ける方法(密着工法)で施工されたものです。写真のようにパネルの継ぎ目に隙間が発生し、壁面全体に碁盤状の線が見えてきたり、パネルが躯体から剥がれ浮き上がってきたりしています。このようになりますと、パネルの隙間から雨が浸入し一気に現象が加速されてしまいます。

外断熱密着工法 経時劣化事例:1

外断熱密着工法 経時劣化事例:2

あらかじめパネルの継ぎ目に目地を設けても経年変化により目地はボロボロになり、パネルの隙間から雨水の浸入を許す事になってしまいます。

B)熱抵抗の変化
グラスウール断熱材は、経時変化による断熱性能の低下がありません。しかし発泡プラスチック系は、気泡内のフロン系ガス拡散により、徐々に空気と入れ替わります。発泡プラスチック系に使われるフロン系ガスは空気よりも低い熱伝導率であるため、空気とフロン系ガスの置換に比例して断熱性能は低下します。断熱性能は製造直後の性能の65%程度まで低下するものもあります。

■発泡プラスチック系断熱材の断熱性能の経時変化
(製造直後の値を起点とした熱伝導率の経時変化)

出典:I
SO/DIS11561-1(断熱-断熱材のエージング)第1部独立気泡構造プラスチックの長期熱抵抗変化の測定(実験室促進試験法)に示された考え方と数式により外挿したものを硝子繊維協会で分かりやすい表現にしたもの。


■空気とフロン系ガスの置換イメージ




グラスウールは多孔質で、内部に空気を多く含んだ繊維質素材のため、他の断熱材にはない高い吸音性能を持っています。グラスウール断熱材を部屋の壁や天井、床に充填することで、外からの騒音を防いだり、室内の音を外へ漏らさないようにする防音性能も発揮します。一方発泡プラスチック系断熱材を使った住宅では、吸音性がほとんどないので内部で反響音が生じることがあります。

住宅用断熱材 (床用)3種類を 一般的に よく使われている 厚みで比較しました。
■垂直入射吸音率での比較
出典:硝子繊維協会試験




グラスウールは、灯油や塗料が付着しても何ら変化が起こりません。しかし発泡プラスチック系は、灯油や塗料などが付着すると、収縮したり、溶けたりするため断熱材としての機能を果たさなくなる恐れがあります。一般化学薬品に対する比較もありますが、ここではより身近な化学品を取り上げて比較してみましょう。 以下のデータは、施工現場あるいは家庭で起こりえる様々な事態を想定して、一般家庭でよく使用される灯油及び塗料に対する各材料の安定性について比較したものです。

■灯油浸漬テスト
[実験方法]
グラスウールと押出法ポリスチレンを、灯油に7日間浸して変化を比べてみました。
 


■塗料スプレーテスト
[実験方法]
グラスウールと押出法ポリスチレンに塗料をスプレーして変化を比べてみました。
 
 
出典:硝子繊維協会試験




グラスウールは製品を1 /8 〜1 /10 に圧縮して梱包しても、梱包後の厚みは元通り復元します。しかも軽量。運搬や保管にかかるコストが大幅に削減でき、作業もスムーズ。現場での保管場所を選ばず、大工さんの負担も軽減できます。

■こんなに違う梱包数!


※上記はCG により作成した積み上げイメージ写真です。
出典:硝子繊維協会試験

■新省エネ基準レベルの家1 軒分に必要な断熱材の量の比較
【比較方法】モデル住宅(2階建て木造軸組工法住宅:1F床面積:82.810m2、2F床面積:66.248m2)を対象に、「住宅金融公庫融資住宅木造住宅工事共通仕様書」に則り、 住宅部位毎にグラスウール及び高発泡ポリエチレンを夫々使用し、新省エネ基準IV地域に適合する充填断熱を施工した場合、必要とされる各断熱材の量を同一前提条件のもとに算出したもの(施工ロスを考慮)。

硝子繊維協会実験データより
出典:硝子繊維協会試験





グラスウールはカッターで容易に切断できるので、現場で加工しやすく、切断面に隙間が出たりしないので安心です。適度な弾力性があるので、施工後の安定性が高く、垂れやたわみも起こしません。熟練者でなくても隙間なく確実な断面施工ができます。

■高発泡ポリエチレン系はカッターで切断しにくく、継ぎ目に隙間が…
■隙間ができると断熱性能がこんなに低下!
出典:硝子繊維協会試験

■グラスウールと硬質ウレタンに、
 重さ7kgの玉を1mの高さから落とし、復元性を比較してみました。

■グラスウールと発泡プラスチック系床用断熱材で
 垂れの経時実験を行いました。
出典:硝子繊維協会試験